- 2025年6月29日
帯状疱疹ワクチンで認知症予防? ― 一石二鳥の医療最新トピック
「一挙両得」「一粒で二度おいしい」「一石二鳥」――

そんな言葉がぴったりの、ちょっと嬉しい医療の話題をご紹介します。
それは、帯状疱疹ワクチンが「将来の認知症予防につながるかもしれない」という、最近注目を集めている研究結果です。
これまでもその可能性は指摘されていましたが、ここ数年で信頼性の高いデータが次々と発表され、医学界でも話題になっています。
2024年には医学雑誌『Nature Medicine』に、そして2025年には『Nature』という世界的な一流誌に、関連論文が掲載されました。
両方の研究で共通していたのは、帯状疱疹ワクチンを接種した人たちの方が、認知症の発症率が明らかに低かったという点。

使用されたのは、生ワクチンと組み換え型ワクチンの両方ですが、現在主流の組み換え型ワクチン(シングリックス®)の方がより高い効果を示していたという報告もあります。(米国ではすでに帯状疱疹ワクチンとしては生ワクチンは使用できません)
なぜワクチンで認知症が減るの?
実は、そのメカニズムはまだ完全には分かっていません。
ですが、今のところ有力視されているのは以下のような仮説です。
• ワクチンで帯状疱疹の原因となるウイルス(VZV)の再活性化を防ぐ
• ワクチンによって全身の免疫が活性化し、脳の慢性炎症を抑える可能性がある
帯状疱疹は「痛いけど治る病気」と思われがちですが、実は後遺症や合併症のリスクが高い病気です。
特に顔面に出た場合は、顔面神経まひや視力・聴覚障害を起こすことも。
また、発疹が治った後も長く続く「帯状疱疹後神経痛」は、高齢者の生活の質(QOL)を大きく下げてしまいます・・・
そんな帯状疱疹を予防し、さらに将来の認知症リスクまで下げられるかもしれない――。
まさに「未来への投資」と言えるのではないでしょうか。

50歳以上では発症率・重症化率ともに高まる
帯状疱疹は、子どもの頃にかかった「水ぼうそう」のウイルス(VZV)が、大人になって免疫力が低下したときに再活性化することで発症します。
50歳以上のほぼ100%の方が「水ぼうそう」のウイルスを持っています。つまり、すべての人が発症リスクを持っているということです。
幸い、現在では予防効果の高いワクチンがあり、2025年度からは日本でも定期接種の対象になりました。
市区町村で補助が受けられますので、費用面の負担も軽減されています。
🌱まとめ:帯状疱疹ワクチンは「自分の脳を守るワクチン」に?🌱
・帯状疱疹の予防になる
・帯状疱疹後神経痛などの後遺症も防げる
・さらに、将来の認知症予防にもつながる可能性がある
――これだけのメリットがあるなら、一度検討してみてもいいかもしれませんね。
ご自身の健康だけでなく、ご家族との将来のためにも。
当院でもご相談を承っておりますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください😊
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# 宝塚市、西宮市の補助制度(定期接種)#
2025年度から帯状疱疹ワクチンが定期接種に追加され、クーポンの配布も始まりました。
• 対象者:令和7年度末の年齢が65歳の方
• 助成内容:不活化(組換え)ワクチン(シングリックス);2回
• 自己負担額の目安:1回あたり1回につき11,000円
詳しくは、以下の宝塚市、西宮市の公式ページをご確認ください: