• 2025年7月24日

【医師が体験】マダニに刺された恐怖とSFTSのリスク|草むらでの正しい服装と対策を解説

暑いですね。こんな季節にはーーそう、怪談です。

今回は、私が実際に体験した“ゾッとする話”をお届けします。

あれは数年前のこと。帰省した際、母の実家の裏山に筍掘りに出かけました。比較的ひらけた場所だったため、半袖半ズボンという軽装で作業していました。

帰宅後「やれやれ」と風呂に入ろうとした時のことです。右太ももあたりにピリッとした違和感を感じたのです。見ても何もなかったので「気のせいか」とそのまま放っておきました。

その後違和感も無くなったので忘れていたのですがーー

数日後同じ場所に違和感が。

見ると、小さなホクロのようなものがあるではないですか。痛みはなく、盛り上がりもなかったのでまた様子を見ることにしました。

ところがさらに数日後。ふと見ると、その「ホクロ」が大きくなっているではないですか。

「数日で大きくなるホクロってある!?」

医師としての頭をフル回転しみましたがあり得ない。

さらに観察すると盛り上がっていて……

ん?動いてる……?

ライトを当ててみると

虫!!! 何本もの足がウネウネと動いている!!!

田舎育ちで虫には慣れているはずの私も、思わず血の気が引きました。

見たこともない虫がピッタリ私の皮膚に食いついて離れないのです。

「噂に聞くダニだ!手で取っちゃダメ、専門的な処置が必要なやつだ!!」

一瞬、脳内で警報が鳴ったのですが――

自分の皮膚に、足の動いている虫が食いついているという現実は、まさにホラー。

動物的反射で引きはがしたのです。

ほっとしたのも束の間。


医師の自分が脳内で警告を再開し、別の恐怖で頭がいっぱいになります。

「ダニを無理に取ったら、口器が皮膚に残って感染の危険が…」

「西日本を中心に流行しているSFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、致死率10〜30%とめちゃくちゃ高い…」

「他にも日本紅斑熱、ライム病、回帰熱……」

しかし、すでに刺され、しかも手で取ってしまった今となっては後の祭りです。

感染しているかどうかは、神のみぞ知る。

マダニによる感染症は沢山あり、潜伏期間は数日から最長3週間。

――そう、私の“ロシアンルーレット”のような3週間の始まりでした。

毎日が「今日、熱が出るかも」「発疹が出たら…」と気が気でない。

まるでこめかみに銃を突きつけられて過ごしているような感覚です。

幸い何も起こらずに済みましたが、慣れているからと軽装で山に入った自分を心から反省しました。

それ以来、道端の雑草が脚に触れるだけでもピクリと反応してしまうという、“後遺症”が残っています・・

どうか皆さん、私のような思いをしないためにも、

草むらに入るときは、必ず長ズボン・長袖で。油断せず、しっかり備えてくださいね。



✅ 参考にすべき外部サイト(参考リンク)

厚生労働省|ダニ媒介感染症

厚生労働省|重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について

日本皮膚科学会|マダニ類に刺されたらどうすればよいですか?  

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