• 2025年10月27日
  • 2025年10月19日

飛行機で歯や耳、鼻が痛くなるのはなぜ?【医師が解説】

紅葉や美味しい食べ物が楽しみな秋。旅行シーズンを迎え、飛行機での移動を計画している方も多いのではないでしょうか。
ところが、「飛行機に乗ったら急に歯がズキズキ…」「副鼻腔炎が悪化した」「耳がつまって痛くなった」――そんな経験はありませんか?

実はこれ、機内の気圧の変化が原因です。飛行機の中は地上よりも気圧が低く、体の中にある“空気の入った空間”――副鼻腔・中耳・歯の根の周囲などに閉じ込められた空気が膨張します。
その結果、内部との圧力差が生じて痛みや違和感が起こるのです。

◆副鼻腔炎の方は「航空性副鼻腔炎」に注意

副鼻腔炎があると、炎症で鼻の奥の通気が悪くなり、空気の通り道がふさがれます。
その状態で飛行機に乗ると、副鼻腔内の空気が膨張して圧が逃げず、顔の痛みや頭痛が強く出ることがあります。これを「航空性副鼻腔炎」と呼びます。

風邪や鼻づまりの際にも同様の症状が出やすいため、搭乗前に耳鼻科での治療をおすすめします。

◆歯の痛みの正体は「航空性歯痛」

歯の根に膿がたまっていると、内部のガスが気圧の低下で膨張し、「航空性歯痛(こうくうせいしつう)」を引き起こすことがあります。
虫歯や歯根の炎症があると特に起こりやすく、「地上では痛くないのに、飛行中だけズキズキする」といったケースも見られます。

旅行前に歯の違和感がある方は、事前に歯科で診てもらうのが安心です。

◆耳が痛くなるのは「気圧性中耳炎」

離着陸の際に「耳がキーンとする」「つまったような感覚がある」――これは気圧性中耳炎の典型的なサインです。中耳(鼓膜の奥)と外界との圧が合わず、鼓膜が内外から引っ張られて痛みが出ます。

唾を飲み込んだり、あくびをすることで耳管が開きやすくなりますが、風邪や鼻炎があると抜けにくくなります。特に小さなお子さんは耳抜きが苦手なので、離着陸時に飴をなめる・水を飲むなどの工夫が有効です。

◆飛行機に乗る前に気をつけたいこと

  • 鼻づまりや風邪があるときは無理をせず、出発前に耳鼻科を受診
  • 歯の痛みや違和感がある場合は歯科でチェック
  • 長時間フライトでは足のむくみ・血栓予防のため、こまめに体を動かす

飛行機は便利な移動手段ですが、気圧の変化など地上とは異なる環境です。
持病がある方は主治医に相談し、体調を整えてから出発しましょう。

◆まとめ:秋の旅行を快適に楽しむために

秋は旅行のベストシーズン。気圧の変化で副鼻腔炎・歯痛・中耳炎が悪化することがありますが、事前の体調管理と受診でほとんど防ぐことができます。
不安がある場合は早めに医療機関へ相談し、快適で楽しい空の旅をお過ごしください。

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