- 2025年5月28日
大腸がんの原因に「腸内細菌」?コリバクチンと若年性がんの意外な関係とは
こんにちは。今回は、国立がん研究センターが発表した最新研究について、わかりやすくご紹介します。
なんと、日本人の大腸がん患者の約5割に腸内細菌がつくる毒素「コリバクチン」が関与している可能性がある、という衝撃的な内容です。

📈 大腸がんは日本で最も身近ながんに
大腸がんは、今や日本人にとって非常に身近ながんです。
- 年間14万人以上が新たに診断されており(2020年:全がん種中1位)
- 年間5万3千人以上が大腸がんで亡くなっています(2023年:がん死亡数第2位)
さらに注目すべきは、日本の大腸がんの罹患率が世界トップクラスであること。
米国の年間新規患者は約15万人と同程度ですが、人口比(日本1.2億人 vs 米国3.4万人)で考えると、驚くほど日本人の方が大腸がんにかかりやすいことがお分かりいただけるかと思います。
そして特に最近増えているのが、50歳未満の「若年性大腸がん」です。
🦠 腸内細菌と大腸がんの関係が明らかに?
今回の研究では、私たちの腸内にすむ細菌の一部が、大腸がんの発症に関与している可能性が指摘されました。
腸内には約100兆個の細菌がすんでおり、食べ物の消化や免疫調整など、健康維持に欠かせない存在です。
しかし、その中には“悪玉菌”とも呼ばれる有害な細菌も存在します。その代表が、コリバクチンという毒素を出す大腸菌の一種です。
このコリバクチンは、DNAに損傷を与える性質があり、それががんの引き金になる可能性があると報告されています。
🔬 若年性大腸がんとコリバクチンの関係
国際共同研究の結果、日本人の大腸がん患者の約50%に、コリバクチンによるDNA変異の痕跡が見つかりました。これは、海外平均(約19%)の2.6倍にあたります。
特に50歳未満の若年層では、高齢者の3倍以上の頻度でこの変異が確認されました。
つまり、日本では「腸内細菌の毒素が関与した大腸がん」が、若い人に多い可能性があるのです。
興味深いことに、大腸がんが発見された時点では、コリバクチンを出す菌は腸内に残っていないケースも多く、若い時期にすでに影響を受けていることが示唆されています。
⚠ 予防法や治療法はまだ確立していないが…
現時点では、コリバクチンそのものをブロックしたり、完全に排除する方法は確立されていません。
しかし、大腸がんは早期発見できれば治癒率の高いがんです。
腸内環境や生活習慣を整えることが、今後の予防につながる可能性もあります。
🔍 要注意!こんな症状があれば検査を
大腸がんは初期症状が乏しいこともありますが、以下のようなサインがある場合は、早めの検査をおすすめします。
- 便秘や下痢を繰り返す
- 血便が出る(鮮血・黒っぽい便も要注意)
- 便が細くなる
- 腹部の張りや違和感が続く
こうした症状がある場合は、「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」をご検討ください。

「内視鏡って痛そう…」という方も、「鎮静剤(静脈麻酔)」を使用すれば、ほとんどの方がウトウトしている間に検査を終えられます。
当院では、安全で苦痛の少ない内視鏡検査を提供していますので、安心してご相談ください。
🧾 まとめ:お腹の中の細菌が、がんの引き金に?
今回の研究は、「腸内細菌ががんの原因になる可能性がある」という、驚くべき事実を明らかにしました。
生活習慣や食事、腸内環境を見直すことが、今後の大腸がん予防につながるかもしれません。
そして何よりも大切なのは、早期発見・早期治療です。
「少し気になるな」と思ったら、お気軽に当院までご相談ください。