- 2026年7月1日
健康診断でALTが高いと言われたら|原因・放置リスク・受診の目安を医師が解説
健康診断でALTが高いと言われたら
◆原因・放置リスク・受診の目安を解説
健康診断の結果を見て、
「ALTが高いですね」
「肝機能に異常があります」
と言われたものの、
- ALTって何?
- 肝臓が悪いの?
- お酒を飲まないのに異常?
と疑問に思う方は多いです。

実際、外来でも
「症状はないけれど、健診で初めて異常を指摘された」
という患者さんがよく来られます。
肝臓は“沈黙の臓器”とも呼ばれ、かなり機能が悪くなっても症状が出にくい臓器です。
そのため、健康診断での異常は体からの大切なサインかもしれません。
今回はALTについてわかりやすく解説します。
◆ALTとは?
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)は、主に肝臓の細胞に含まれる酵素です。
肝臓の細胞が傷つくと、ALTが血液中に漏れ出し、数値が上がります。
つまり、ALTが高いということは、
「肝臓に炎症やダメージが起きている可能性がある」
というサインです。
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健康診断ではAST、ALT、γ-GTPなどをまとめて「肝機能」として検査していることが多いですね。
◆どれくらい高いと注意が必要?
基準値は施設によって多少異なりますが、
- ALT 30以下 → 正常
- ALT 31〜49 → 軽度上昇
- ALT 50〜99 → 要注意
- ALT 100以上 → 精密検査を推奨
と考えることが多いです。
以前はALTが40以上で異常とする基準も多かったのですが、近年日本肝臓学会からはALT>30での受診が推奨されています。(▶️日本肝臓学会 奈良宣言 特設サイト)
ただし、重要なのは数値だけではありません。
- 前回より上がっているか
- ASTも高いか
- γ-GTPも高いか
- 症状があるか
こうした全体像が大切です。
ALTが40前後でも、原因によっては詳しい検査が必要になることがあります。
◆ALTが高くなる主な原因
① 脂肪肝(最も多い)
最近もっとも多い原因です。
- 体重増加
- 運動不足
- 糖質のとりすぎ
- 内臓脂肪の増加
こうした生活習慣が関係します。

特に、
- 中性脂肪が高い
- 血糖値が高い
- お腹周りが気になる
という方は脂肪肝の可能性があります。
お酒を飲まなくても脂肪肝になります。(▶️(肝臓専門医である)私の脂肪肝治療日記)
② アルコール
お酒によって肝臓に負担がかかるとALTが上昇します。
- 毎日飲酒する
- 休肝日が少ない
- 飲酒量が多い
こうした習慣がある方は要注意です。
③ ウイルス性肝炎
B型肝炎、C型肝炎などです。
自覚症状がないまま進行することもあります。
健診異常がきっかけで見つかることも珍しくありません。
④ 薬剤・サプリメント
意外と見落とされます。
医師からの処方薬以外にも
- 市販薬
- 漢方
- サプリメント
- 筋トレ系サプリ
などが影響することがあります。
⑤ その他
- 自己免疫性肝炎
- 肝臓の腫瘍、胆石
- 甲状腺疾患
- その他まれな肝疾患
などが隠れていることもあります。
◆放置するとどうなる?
「症状がないから大丈夫」
と思ってしまう方は多いですが、これは要注意です。
例えば脂肪肝を放置すると、
脂肪肝
↓
脂肪性肝炎(MASH/旧NASH)
↓
肝硬変
↓
肝がん
と進行することがあります。
もちろん全員がここまで進行するわけではありません。
ただ、初期には症状がほとんどないため、
異常を放置しやすいのが問題です。
早めに原因を調べることで、改善できるケースは多くあります。
◆受診の目安
以下に当てはまる場合は、一度受診をおすすめします。
- ALTが30以上
- 毎年高い
- 数値が上昇傾向
- ASTやγ-GTPも高い
- 肥満や糖尿病がある
- 倦怠感がある
特にALT 100以上など数値が高い方は、早めの受診をおすすめします。
◆どんな検査をする?
痛い検査などないか気になりますよね。
医療機関では主に以下を確認します。
血液検査
- AST
- ALT
- γ-GTP
- 肝炎ウイルス
- 血糖
- 脂質 など
腹部エコー
肝臓に脂肪がついていないか、肝臓の形に異常がないか、肝臓の中に腫瘍や、胆嚢に石がないか、などを確認します。
脂肪肝の診断に非常に有用です。当院では同時に肝硬度の確認も可能で、肝硬変に進行していないかなども同時に行います。(▶️脂肪肝は放置して大丈夫?|肝エラストグラフィーでわかる肝硬変・肝がんリスク【宝塚・西宮】)

必要に応じて追加検査
- CT
- MRI
- 肝硬度測定
- 精密採血
原因に応じて進めていきます。
◆よくある質問(FAQ)
ALTが高いと必ず肝臓が悪いのですか?
多くは肝臓由来ですが、必ずしも重い病気とは限りません。
風邪や腸炎などの感染症に伴うものなど、一時的な上昇もあります。
お酒を飲まないのにALTが高いです
ALTが高くなるのはお酒が原因とは限りません。
特に最近は、お酒を飲まない方の脂肪肝が増えています。
体重増加や糖質過多が原因になることがあります。
ALTは下げられますか?
原因によりますが、生活習慣の改善で下がるケースは多いです。
- 体重を5%減らす
- 運動習慣をつける
- 甘い飲み物を減らす
- 飲酒量を見直す
これだけでも改善が期待できます。
私も大学院時代に脂肪肝による肝障害があり、必死にダイエット、ALTを下げた記憶があります。
(▶️(肝臓専門医である)私の脂肪肝治療日記)
◆まとめ
健康診断でALTが高いと言われたら、
「様子をみよう」
で終わらせないことが大切です。
ALT上昇の背景には、
など、さまざまな原因があります。
- 脂肪肝
- アルコール
- 肝炎
- 薬剤肝
- 腫瘍、胆石
肝臓は「沈黙の臓器」。症状はかなり進行しないと出ません。
特に症状がない時期こそ、確認が重要です。
健診異常をきっかけに、肝臓の状態を見直してみましょう。
