• 2026年7月1日

健康診断でALTが高いと言われたら|原因・放置リスク・受診の目安を医師が解説

健康診断でALTが高いと言われたら

原因・放置リスク・受診の目安を解説

健康診断の結果を見て、

「ALTが高いですね」
「肝機能に異常があります」

と言われたものの、

  • ALTって何?
  • 肝臓が悪いの?
  • お酒を飲まないのに異常?

と疑問に思う方は多いです。

実際、外来でも
「症状はないけれど、健診で初めて異常を指摘された」
という患者さんがよく来られます。

肝臓は“沈黙の臓器”とも呼ばれ、かなり機能が悪くなっても症状が出にくい臓器です。
そのため、健康診断での異常は体からの大切なサインかもしれません。

今回はALTについてわかりやすく解説します。

ALTとは?

ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)は、主に肝臓の細胞に含まれる酵素です。

肝臓の細胞が傷つくと、ALTが血液中に漏れ出し、数値が上がります。

つまり、ALTが高いということは、
「肝臓に炎症やダメージが起きている可能性がある」
というサインです。
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健康診断ではAST、ALT、γ-GTPなどをまとめて「肝機能」として検査していることが多いですね。

どれくらい高いと注意が必要?

基準値は施設によって多少異なりますが、

  • ALT 30以下 → 正常
  • ALT 31〜49 → 軽度上昇
  • ALT 50〜99 → 要注意
  • ALT 100以上 → 精密検査を推奨

と考えることが多いです。
以前はALTが40以上で異常とする基準も多かったのですが、近年日本肝臓学会からはALT>30での受診が推奨されています。(▶️日本肝臓学会 奈良宣言 特設サイト

ただし、重要なのは数値だけではありません。

  • 前回より上がっているか
  • ASTも高いか
  • γ-GTPも高いか
  • 症状があるか

こうした全体像が大切です。

ALTが40前後でも、原因によっては詳しい検査が必要になることがあります。

ALTが高くなる主な原因

① 脂肪肝(最も多い)

最近もっとも多い原因です。

  • 体重増加
  • 運動不足
  • 糖質のとりすぎ
  • 内臓脂肪の増加

こうした生活習慣が関係します。

特に、

  • 中性脂肪が高い
  • 血糖値が高い
  • お腹周りが気になる

という方は脂肪肝の可能性があります。

お酒を飲まなくても脂肪肝になります。(▶️(肝臓専門医である)私の脂肪肝治療日記

② アルコール

お酒によって肝臓に負担がかかるとALTが上昇します。

  • 毎日飲酒する
  • 休肝日が少ない
  • 飲酒量が多い

こうした習慣がある方は要注意です。

③ ウイルス性肝炎

B型肝炎、C型肝炎などです。

自覚症状がないまま進行することもあります。

健診異常がきっかけで見つかることも珍しくありません。

④ 薬剤・サプリメント

意外と見落とされます。
医師からの処方薬以外にも

  • 市販薬
  • 漢方
  • サプリメント
  • 筋トレ系サプリ

などが影響することがあります。

⑤ その他

  • 自己免疫性肝炎
  • 肝臓の腫瘍、胆石
  • 甲状腺疾患
  • その他まれな肝疾患

などが隠れていることもあります。

放置するとどうなる?

「症状がないから大丈夫」
と思ってしまう方は多いですが、これは要注意です。

例えば脂肪肝を放置すると、

脂肪肝

脂肪性肝炎(MASH/旧NASH)

肝硬変

肝がん

と進行することがあります。

もちろん全員がここまで進行するわけではありません。

ただ、初期には症状がほとんどないため、
異常を放置しやすいのが問題です。

早めに原因を調べることで、改善できるケースは多くあります。

受診の目安

以下に当てはまる場合は、一度受診をおすすめします。

  • ALTが30以上
  • 毎年高い
  • 数値が上昇傾向
  • ASTやγ-GTPも高い
  • 肥満や糖尿病がある
  • 倦怠感がある

特にALT 100以上など数値が高い方は、早めの受診をおすすめします。

どんな検査をする?

痛い検査などないか気になりますよね。
医療機関では主に以下を確認します。

血液検査

  • AST
  • ALT
  • γ-GTP
  • 肝炎ウイルス
  • 血糖
  • 脂質 など

腹部エコー

肝臓に脂肪がついていないか、肝臓の形に異常がないか、肝臓の中に腫瘍や、胆嚢に石がないか、などを確認します。

脂肪肝の診断に非常に有用です。当院では同時に肝硬度の確認も可能で、肝硬変に進行していないかなども同時に行います。(▶️脂肪肝は放置して大丈夫?|肝エラストグラフィーでわかる肝硬変・肝がんリスク【宝塚・西宮】

必要に応じて追加検査

  • CT
  • MRI
  • 肝硬度測定
  • 精密採血

原因に応じて進めていきます。

よくある質問(FAQ)

ALTが高いと必ず肝臓が悪いのですか?

多くは肝臓由来ですが、必ずしも重い病気とは限りません。
風邪や腸炎などの感染症に伴うものなど、一時的な上昇もあります。

お酒を飲まないのにALTが高いです

ALTが高くなるのはお酒が原因とは限りません。
特に最近は、お酒を飲まない方の脂肪肝が増えています。
体重増加や糖質過多が原因になることがあります。

ALTは下げられますか?

原因によりますが、生活習慣の改善で下がるケースは多いです。

  • 体重を5%減らす
  • 運動習慣をつける
  • 甘い飲み物を減らす
  • 飲酒量を見直す

これだけでも改善が期待できます。

私も大学院時代に脂肪肝による肝障害があり、必死にダイエット、ALTを下げた記憶があります。
▶️(肝臓専門医である)私の脂肪肝治療日記

まとめ

健康診断でALTが高いと言われたら、
「様子をみよう」
で終わらせないことが大切です。

ALT上昇の背景には、

など、さまざまな原因があります。

  • 脂肪肝
  • アルコール
  • 肝炎
  • 薬剤肝
  • 腫瘍、胆石

肝臓は「沈黙の臓器」。症状はかなり進行しないと出ません。
特に症状がない時期こそ、確認が重要です。

健診異常をきっかけに、肝臓の状態を見直してみましょう。

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