- 2026年7月6日
ASTとALTの違いとは?健康診断で肝機能異常を指摘されたときの見方を医師が解説
◆健康診断で肝機能異常を指摘されたら知っておきたいこと
健康診断で
「ASTが高いですね」
「ALTが高いですね」
(▶️健康診断でALTが高いと言われたら|原因・放置リスク・受診の目安を医師が解説)
と言われても、
「結局、何が違うの?」
「どちらが高いと問題なの?」
と思ったことはありませんか?

どちらも肝臓の状態を知る大切な数値ですが、実は“見ている場所”が少し違います。
健診で肝機能異常を指摘されると不安になりますが、まずはASTとALTの違いを知ることで、自分の状態を理解しやすくなります。
今回は、この2つの数値についてわかりやすく解説します。
◆ASTとALTとは?
ASTもALTも、体の細胞の中にある酵素です。
細胞が傷つくと血液中に漏れ出し、採血で数値が高くなります。
つまり、ASTやALTが高いということは、
どこかの細胞にダメージが起きているサイン
と考えることができます。
ただし、この2つには大きな違いがあります。
◆ALTとは?
ALTは、主に肝臓に存在する酵素です。
そのためALTが高い場合は、
- 脂肪肝
- 肝炎
- 薬剤性肝障害
- アルコール性肝障害
など、
肝臓そのものに何か起きているサイン
と考えられます。
特に最近増えているのが脂肪肝です。
- 体重増加
- 運動不足
- 糖質の摂りすぎ
- 内臓脂肪の増加
こうした生活習慣が背景にあることが少なくありません。

ALTについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
▶️【健康診断でALTが高いと言われたら】
脂肪肝については私の脂肪肝克服記録もご参考にして下さい。
▶️(肝臓専門医である)私の脂肪肝治療日記)
◆ASTとは?
ASTは、肝臓だけでなく、
- 筋肉
- 心臓
- 赤血球
などにも含まれています。
そのためASTが高い場合、
肝臓だけが原因とは限りません。
例えば、
- 採血前日に激しい運動をした
- 筋トレをした
- 強い筋肉痛がある

このような場合でもASTが上がることがあります。
つまりASTは、ALTよりも少し広い視点で見る必要がある数値です。
◆見るポイントは「どちらがより高いか」
ASTとALTを見るときに重要なのは、
どちらがより高いか
です。
✅ALTの方が高い場合
この場合は、
- 脂肪肝
- 慢性肝炎
などでよくみられます。
特に健康診断で最も多いのは脂肪肝です。
最近では、お酒を飲まない方の脂肪肝も増えています。
✅ASTの方が高い場合
この場合は、
- アルコール性肝障害
- 進行した肝疾患
- 筋肉由来の上昇
などが考えられます。
飲酒習慣がある方では、ASTが高くなりやすい傾向があります。
また、運動後の一時的な上昇も珍しくありません。
(さらに詳しい記事:▶️CRCグループ ASTとALTの違いは? AST/ALT比について)
◆どれくらい高いと注意が必要?
一般的には、
- 30以下 → 正常
- 30〜50 → 軽度上昇
- 50〜100 → 要注意
- 100以上 → 精密検査推奨
と考えることが多いです。
以前はALTが40以上で異常とする基準も多かったのですが、近年日本肝臓学会からはALT>30での受診が推奨されています。(▶️日本肝臓学会 奈良宣言 特設サイト)
ただし、数値だけで判断はできません。
重要なのは、
- 前回より上がっているか
- 毎年異常が続いているか
- 他の項目も異常か
という変化です。
◆特に注意したいケース
以下に当てはまる方は、一度医療機関で相談することをおすすめします。
- ASTまたはALTが基準値を超えている
- 毎年異常がある
- 数値が徐々に上がっている
- γ-GTPも高い
- 肥満や糖尿病がある
特に、複数の異常が重なっている場合は注意が必要です。
γ-GTPについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→ 【γ-GTPだけ高い原因】(後日掲載予定)
◆放置するとどうなる?
「症状がないから大丈夫」
そう思ってしまう方は少なくありません。
ですが、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれています。
悪化しても、初期にはほとんど症状が出ません。
例えば脂肪肝を放置すると、
脂肪肝
↓
脂肪肝炎
↓
肝硬変
↓
肝がん
と進行する可能性があります。
もちろん全員がそうなるわけではありません。
しかし、早い段階で気づければ改善できるケースが多いのです。
当院では肝硬変に進行していないかなどの確認のため、腹部エコー検査による肝硬度の確認が可能です。
→▶️脂肪肝は放置して大丈夫?|肝エラストグラフィーでわかる肝硬変・肝がんリスク【宝塚・西宮】
◆まとめ
ASTとALTは、どちらも肝機能を見る大切な数値です。
違いを簡単にまとめると、
- ALT → 主に肝臓にある
- AST → 肝臓+筋肉や心臓にもある
という違いがあります。
そして、
- ALTが高いのか
- ASTが高いのか
- どちらがより高いのか
によって、考えられる原因が変わります。
健康診断で異常を指摘されたら、
「症状がないから様子をみよう」
で終わらせず、一度しっかり確認しておくことが大切です。
健診結果は、体からの大切なサインかもしれません。
