- 2026年8月23日
海で魚に刺されたらどうする?応急処置と危険なヒョウモンダコ
◆海で魚に刺されたら、冷やしますか?それとも温めますか?
先日、講習会に参加してきました。
熱中症の講習だったのですが、講師の救急医の先生から「夏の救急疾患」についても面白いお話がありました。
それは、海でのケガの話。

夏になると海で遊ぶ機会が増えます。
しかし、海には思わぬ危険もあります。
その一つが、毒のある魚による刺傷です。
◆オコゼやカサゴ、エイには毒があります
オコゼやカサゴには背中に、エイには尾に毒のある棘があります。
刺されると、かなり強い痛みが出ることがあります。
では、もし海で魚に刺されたらどうするでしょう?
「痛い!冷やさなきゃ!」
そう思いませんか?
ところが、魚の種類によっては、「冷やす」のではなく「温める」ことがポイントになります。
魚の刺毒には、熱に弱い成分が含まれています。
そのため、刺された部分を42〜45℃程度のお湯に30〜90分程度つけることで、痛みが和らぐことがあります。上條吉人 閃sネイ(埼玉医科大学臨床中毒科教授)による解説でも、オニカサゴなどでは40〜45℃のお湯に30〜60分浸す方法が紹介されています。(▶️東南アジアと日本の叡智を結集して、有毒生物から命や身体を守る)
ただし、ここで大切なのが「熱ければ熱いほどいい」というわけではないこと。
熱すぎるお湯は、毒ではなく自分の皮膚を傷めてしまいます。
実際に、魚に刺された後の温水処置によって熱傷を起こした症例も報告されています。温度を確認し、やけどをしないよう十分注意してください。
また、刺傷では傷口に棘が残っていたり、感染を起こしたりすることもあります。
応急処置をしたら、早めに医療機関を受診しましょう。
◆小さくてきれいな「ヒョウモンダコ」には要注意
そして、海で注意したい生き物がもう一つ。
それが「ヒョウモンダコ」です。

小さくてきれいなタコですが、見た目に反して非常に危険です。
ヒョウモンダコの唾液には、フグ毒として知られるテトロドトキシンが含まれています。
この毒は神経や筋肉の働きを妨げるため、咬まれると筋肉の麻痺を起こし、重症になると呼吸困難や呼吸停止に至ることがあります。島根県も、ヒョウモンダコを「危険な生物」として注意喚起しています。(▶️島根県公式サイト)
テトロドトキシンは、一般的な調理加熱では分解されないほど熱に強い毒です。つまり、魚の刺毒のように「温めればよい」というわけではありません。(▶️厚生労働省)
ヒョウモンダコを見つけても、絶対に触らない。
そして、もし咬まれた場合は、症状が軽くても自己判断せず、すぐに医療機関を受診してください。
◆海では「知らない生き物に触らない」が基本
今回のお話は、私自身も講習会で初めて知ったことでした。
「魚に刺されたら冷やす」
そんなイメージを持っていた方も多いのではないでしょうか。
海には、私たちが知らない毒を持った生き物がいます。
だからこそ、
知らない生き物には触らない。
そして、もし刺されたり咬まれたりしたら、適切な応急処置を行い、必要に応じて医療機関を受診する。
これが大切です。
今回の記事を書くにあたって、私もいくつかの専門的な情報を調べてみました。
魚の刺傷については、医学専門誌「レジデントノート」の「海で魚に刺されたら」という記事が、非常に分かりやすくまとめられています。(▶️羊土社 レジデントノート)
また、魚毒についてさらに詳しく知りたい方は、NCBI Bookshelfの「Lionfish, Scorpionfish, and Stonefish Toxicity」も参考になります。(▶️NCBI)
ヒョウモンダコについては、島根県の注意喚起ページが写真も掲載されていて分かりやすいので、海に行く前に一度見ておくとよいでしょう。(▶️島根県公式サイト)
そして、テトロドトキシンについて詳しく知りたい方には、**厚生労働省の「自然毒のリスクプロファイル:フグ毒」**も参考になります。(▶️厚生労働省)
