- 2026年8月5日
LDL(悪玉)コレステロールが高いと言われたら|原因・改善方法・薬が必要な人を医師がわかりやすく解説
健康診断の結果を見て、
「LDLコレステロールが高いですね。」
と言われたことはありませんか?

「まだ症状もないし、大丈夫かな。」
「薬を飲まないといけないの?」
「卵はもう食べられない?」
診察でも、このような質問をよくいただきます。
LDLコレステロールは、自覚症状がないため軽く考えられがちですが、将来の心筋梗塞や脳梗塞を予防するうえで、とても大切な検査項目です。
今回は、LDLコレステロールとは何か、高くなる原因や改善方法、薬が必要になる場合についてわかりやすくご説明します。
◆LDLコレステロールとは?
LDLコレステロールは、「悪玉コレステロール」と呼ばれています。▶️日本循環器協会
「悪玉」と聞くと、体に悪いものと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
コレステロールは、
- 細胞の膜
- ホルモン
- 胆汁酸
などを作るために欠かせない大切な物質です。
LDLは、そのコレステロールを肝臓から全身の細胞へ運ぶ役割をしています。
例えるなら、体中へ必要な荷物を届ける配送トラックのような存在です。

ところが、このトラックが増えすぎると問題が起こります。
余ったLDLコレステロールが血管の壁に入り込み、長い年月をかけて蓄積すると、血管は徐々に狭く硬くなってしまいます。
これが「動脈硬化」です。
このためLDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれているのです。
◆LDLコレステロールが高いと何が問題?
動脈硬化が進行したとしても、ほとんど症状がありません。
しかし、知らない間に進行し、ある日突然、
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 脳梗塞
- 足の血管が詰まる閉塞性動脈疾患
などを引き起こすことがあります。
つまり、LDLコレステロールが高いということは、「今困る病気」ではなく、「将来の大きな病気」の危険信号なのです。
健康診断で見つかった段階で対策を始めることが何より大切です。
◆LDLコレステロールが高くなる原因
原因は一つではありません。
・食生活
最も多い原因の一つです。
特に、
- 脂身の多い肉
- ベーコンやソーセージなどの加工肉(大腸がんのリスクにもなります)
- バター
- 生クリーム
- 洋菓子

などに多く含まれる「飽和脂肪酸」はLDLコレステロールを上昇させます。
・運動不足・肥満
体を動かさない生活や内臓脂肪の増加も、脂質異常症の原因になります。
・喫煙
喫煙は血管を傷つけ、動脈硬化を進める大きな危険因子です。
・遺伝
若い頃からLDLコレステロールが高い方では、「家族性高コレステロール血症」という遺伝性の病気が隠れていることがあります。
ご家族に50歳以下など、若くして心筋梗塞になった方がいる場合は、一度医療機関へ相談しましょう。
◆日常生活で改善するには?
まず基本となるのは生活習慣の見直しです。
・食事
ポイントは「食べないこと」ではなく、「食べ方を変えること」です。
例えば、
- 野菜をしっかり食べる
- 海藻やきのこを取り入れる
- 魚や大豆製品を増やす
- 揚げ物を減らす
- 脂身の多い肉を食べ過ぎない
このような工夫だけでも改善が期待できます。
・運動
ウォーキングなどの有酸素運動を週150分程度行うことが勧められています。▶️厚生労働省 健康日本21アクション支援システム
毎日30分続けられなくても構いません。
10〜15分を数回に分けても十分効果があります。
・体重管理
肥満のある方では、現在の体重を3〜5%程度減らすだけでも、血圧や血糖値、中性脂肪の改善が期待できます。
一方で、LDLコレステロールは体重を減らすだけでは十分に下がらないこともあります。
そのため、体重だけでなく、食事内容を見直すことがとても重要です。
◆薬はどんな人に必要?
「LDLコレステロールが160を超えたら薬ですか?」
これもよくいただく質問です。
LDLコレステロールが160mg/dL以上では、薬による治療を検討することが多くなります。(▶️日本医師会 脂質異常症治療のエッセンス)
しかし、それ以下だから治療が不要というわけではありません。
例えば、
- 糖尿病
- 高血圧
- 慢性腎臓病
- 喫煙
- 心筋梗塞や脳梗塞になったことがある
などの危険因子がある方では、140mg/dL前後でも薬が必要になることがあります。
逆に、160mg/dLを超えていても、若く危険因子が少ない方では、まず生活習慣の改善から始めることもあります。
つまり、数値だけではなく、その方の動脈硬化のリスク全体を見て治療方針を決めるのです。
◆よくある質問① 卵は食べても大丈夫?

以前は「コレステロールが高いなら卵は控えましょう」と言われていました。
しかし現在では、健康な方では卵を必要以上に制限する必要はないと考えられています。
実は、LDLコレステロールに大きく影響するのは、卵そのものよりも、肉の脂やバターなどに多く含まれる「飽和脂肪酸」です。
もちろん食べ過ぎはよくありませんが、バランスの良い食事の中で1日1個程度であれば、多くの方では問題ありません。
◆よくある質問② 薬は一生飲み続けるの?
答えは、
「一生とは限りません。」
生活習慣の改善によってLDLコレステロールが十分下がれば、薬を減らしたり中止できる方もいます。
一方で、
- 心筋梗塞や脳梗塞を起こしたことがある方
- 家族性高コレステロール血症の方
では、再発予防のために長期間治療を続けることが勧められています。
薬は数値を下げるためだけではなく、心筋梗塞や脳梗塞を防ぐために飲んでいるということを覚えておきましょう。
自己判断で中止せず、必ず主治医と相談してください。
◆まとめ
LDLコレステロールは、体に必要なコレステロールを運ぶ大切な役割を持っています。
しかし、増えすぎると動脈硬化を進め、将来の心筋梗塞や脳梗塞につながる可能性があります。
まずは食事や運動など生活習慣を見直すことが治療の基本です。
それでも改善が難しい場合や、動脈硬化のリスクが高い方では、薬による治療を組み合わせることで将来の病気を予防できます。
健康診断で「LDLコレステロールが高い」と言われたら、「まだ症状がないから大丈夫」と放置せず、一度かかりつけ医に相談してみましょう。
早めの対策が、10年後、20年後の健康につながります。
