• 2026年6月21日

兵庫県でも発生中|SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは?マダニ感染症を医師が解説

以前、奈良公園の鹿に大量のダニが付着している様子が報道され、驚いた方も多かったのではないでしょうか。
鹿の体にびっしり付着したダニの映像は、なかなか衝撃的でした。

ダニと聞くと、気になるのが感染症です。

特に注意したいのが、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)です。

聞き慣れない病名かもしれませんが、近年、西日本を中心に患者報告が増えており、兵庫県内でも今年度すでに患者報告があります。(▶️兵庫県2026年 第20週 (5月11日~5月17日)の感染症発生動向調査情報
これからの季節、野外で活動する機会が増えるため、知っておきたい感染症のひとつです。

◆SFTSとは?

SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)は、マダニが媒介するウイルス感染症です。
主に、SFTSウイルスを保有したマダニに咬まれることで感染します。(▶️厚生労働省 ダニ感染症より

感染後6日〜2週間ほどで、以下のような症状が現れます。

・発熱
・強い倦怠感
・食欲低下
・吐き気
・嘔吐
・下痢

最初は風邪や胃腸炎に似た症状で始まるため、見逃されることもあります。

しかし重症化すると、

・意識障害
・出血症状
・多臓器不全

などを起こすことがあり、命に関わるケースもあります。

SFTSの致死率は10〜30%程度とされており、注意が必要な感染症です。

◆鹿もSFTSになるの?

奈良公園のニュースを見て、
「鹿もSFTSになるの?」
と思った方もいるかもしれません。

実は、鹿もSFTSウイルスに感染します。

ただし、多くは症状が出ない
「不顕性感染」
と考えられています。

つまり感染していても、ほとんど症状が出ないのです。

一見元気そうに見えるため、感染しているかどうかを外見だけで判断することはできません。

鹿だけでなく、イノシシなどの野生動物でも同様のことが知られています。

なぜ感染地域が広がっているのか

問題は、SFTSウイルスを保有した鹿やイノシシなどの野生動物の移動が、感染拡大に関与している可能性があることです。

野生動物が移動すると、それに付着したマダニも広い範囲へ移動します。
その結果、ダニやウイルスの分布が広がっていくと考えられています。
実際、以前は西日本中心と考えられていたSFTSですが、近年は患者報告地域が年々拡大しています。

もはや「西日本だけの病気」とは言えなくなってきています。

兵庫県内でも今年度すでに患者報告があり(▶️兵庫県2026年 第20週 (5月11日~5月17日)の感染症発生動向調査情報)、身近な感染症として意識することが大切です。

◆SFTSを予防するには?

SFTSを予防するうえで最も重要なのは、マダニに咬まれないことです。

特に注意が必要なのは、

・野山
・草むら
・河川敷
・キャンプ場
・農作業や庭仕事

などです。

予防の基本は、肌の露出を減らすことです。

具体的には、

・長袖
・長ズボン
・帽子
・足を覆う靴

を意識しましょう。

また、野外活動後は衣服や体にダニがついていないか確認することも大切です。

入浴時に全身をチェックする習慣をつけると安心です。

◆「たかがダニ」と侮れません

実は私自身、以前マダニに刺されたことがあります。

刺された後は、
「発熱しないだろうか」
「症状は出ないだろうか」
と、数週間ヒヤヒヤしながら過ごしました。(▶️【医師が体験】マダニに刺された恐怖とSFTSのリスク|草むらでの正しい服装と対策を解説)

今でも仁川沿いを歩いていて草が足に触れるだけで、少しゾクッとします。

それくらい、一度経験すると印象に残ります。

小さなダニですが、決して侮れません。

これから夏にかけて、屋外で過ごす機会が増えます。
正しい知識を持って、しっかり対策しながら安全に過ごしましょう。

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