• 2026年8月30日

サンドウィッチマン伊達さんの脳梗塞から考える|高血圧を放置してはいけない理由

先日、サンドウィッチマンの伊達みきおさんが、脳梗塞のため入院し、治療を受けていることが報道されました。

所属事務所の発表によると、伊達さんは体調不良を訴えて病院を受診したところ、脳梗塞と診断されたとのことです。幸い大事には至らず、現在は治療に専念されているとされています。(⁠▶️日刊スポーツより)

私はサンドウィッチマンがM-1グランプリ2007で優勝された頃から好きで、今でもYouTubeなどでコントを楽しませてもらっています。

そのため今回のニュースには、とても驚きました。

そして医師として、今回改めてご説明させていただきたいのが「高血圧」です。

過去には「血圧200超」と報じられたことも

伊達さんについては、過去に血圧が200mmHgを超えていたことが報じられています。(⁠▶️オリコンニュース(ORICON NEWS))

もちろん、現在の血圧やこれまでの治療状況、今回の脳梗塞との詳しい因果関係について、外部から判断することはできません。

ただ、医療者として一つお伝えしたいことがあります。

高血圧は、症状がなくても放置してはいけない病気です。

高血圧は「症状」ではなく「血管へのダメージ」が問題

高血圧というと、
「血圧が高いだけで、特に症状はないのでは」
と思われる方も少なくありません。

実際、高血圧は自覚症状がほとんどないまま進行することが多い病気です。

しかし、問題なのは「今、症状があるかどうか」ではありません。

長期間にわたって血圧が高い状態が続くことで、血管に負担がかかり、動脈硬化が進行します。

その結果として、

  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • 心筋梗塞
  • 心不全
  • 慢性腎臓病

などの重大な病気につながる可能性があります。

日本高血圧学会も、高血圧は将来の脳卒中や心臓病、腎臓病などの発症リスクを高める病気としています。(⁠▶️日本高血圧学会)

つまり、
「血圧が高いこと」そのものよりも、その状態が長く続くことで血管が傷んでしまうことが問題なのです。

血管を「ホース」に例えてみると

血管をホースに例えてみましょう。

高血圧では、ホースの内側に必要以上の圧力がかかり続けます。

そこに糖尿病や脂質異常症などが加わると、流れる血液の中に、通常より多い糖質や脂が流れている状態が続きます。そして血管の内側ではさらに動脈硬化が進みやすくなります。

血管の壁が厚くなったり、硬くなったり、プラークができたりすることで、血管の中が狭くなっていくのです。

そして、最終的に血管が「詰まる」ことがあります。

これが脳で起これば、脳梗塞
心臓を養う血管で起これば、心筋梗塞です。

一方、高血圧によって血管が傷み、脳の血管が「破れる」と、脳出血につながります。

そして、知られていないのが慢性腎臓病です。腎臓は血液内の不要な物質を血液から濾過するための毛細血管が張り巡らされています。この血管に高圧がかかり続けると目詰まりしたり破れたりして濾過ができなくなってしまうのです

高血圧が怖いのは、こうした血管の変化が、本人が気づかないうちに進んでいくことなのです。

高血圧・糖尿病・脂質異常症は「症状がないから大丈夫」ではありません

これは高血圧だけの話ではありません。

糖尿病や脂質異常症についても、異常値があっても、
「特に何も症状がないので……」
と治療の必要性を感じていただくことが難しい場面があります。

しかし、これらの病気の多くは、症状が出てから治療するのでは遅い場合があります。

血糖値やLDLコレステロールなどの異常が長く続けば、血管にダメージが蓄積し、動脈硬化性疾患のリスクが高くなります。日本動脈硬化学会のガイドラインでも、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患を予防するため、危険因子を適切に管理することが重要とされています。(▶️⁠日本動脈硬化学会)

だからこそ、

「症状がないから薬はいらない」
ではなく、

「症状がないうちから血管を守る」
という考え方が大切です。

血圧の治療は「今のため」だけではありません

高血圧の薬を飲むことに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。

「一度飲み始めたら一生飲まないといけないのでは?」

「今は何ともないから、まだ薬はいらないのでは?」

そう考える気持ちも分かります。

しかし、降圧治療の目的は、単純に血圧の数字を下げることだけではありません。

将来、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などを起こすリスクを下げること。

これが大きな目的です。

日本高血圧学会は、収縮期血圧を10mmHg下げることで、脳卒中・心臓病のリスクが約2割減少するとしています。(⁠▶️日本高血圧学会)

もちろん、薬が必要かどうか、どの程度まで血圧を下げるかは、年齢や持病、血圧の値、合併症などによって異なります。

そして、減量や塩分制限などで血圧コントロールが良くなれば薬をやめられることもあります。

自己判断で薬を中断するのではなく、主治医と相談することが大切です。

「症状がない」は、安心材料ではありません

高血圧、糖尿病、脂質異常症
これらは、普段の生活の中では困らないことがほとんどです。

だからこそ、治療を続けることが難しい病気でもあります。

しかし、血管は私たちが気づかないところで少しずつ変化しています。

「今は元気だから大丈夫」
ではなく、

「今、症状がないうちに血管を守る」
ことが大切なのです。

今回のニュースが、高血圧や糖尿病、脂質異常症を指摘されている方にとって、ご自身の血圧や血液検査を見直すきっかけになればと思います。

伊達みきおさんの一日も早いご回復を、心よりお祈りしております。

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